WordPress.org

日本語

Ready to get started?Download WordPress

ブログ

すばらしき10年間

2013年6月5日, Naoko Takano

以下は、Matt Mullenweg が書いた WordPress.org 公式ブログの記事、「WordPress › Ten Good Years」を訳したものです。


僕たちがこのプロジェクトをスタートして、10年が経ちました。ずいぶん遠くまできたものです。僕とマイク・リトル気に入っていたブログソフトウェアをフォークすることを話し合った時から、Web 全体の18%をカバーするようになるまで、クレージーでエキサイティングな道のりでした。そしてこの旅は、まだ終わりません。

10年という節目に、始まりを振り返ってみるのも楽しいものです。WordPress をリリースしたのは2003年5月27日でしたが、それが本当の始まりだったわけではありません。もっと前に遡れば、そのころあったセルフホスティング型ブログプラットフォームにフラストレーションを感じていたミッシェル・ヴァルドリッヒが自分のソフトウェアを書くことにしたのが発端です (ミッシェルの投稿も読むことができます) 。彼は「PHP+MySQL を使った、Blogger・GreyMatter の代替案」として b2 を開発しました。b2 は簡単にインストール・設定でき、開発者が拡張するのも簡単でした。そのころあった多くのブログソフトウェアのうち、b2 は僕に合っていました。コンテンツを書いて、すばやく楽に Web に公開できたからです。

時に、人生というのはプロジェクトの邪魔をすることもあります。2002年に、ミッシェルは b2 のメンテナンスをやめてしまいました。時間が経つにつれてセキュリテイ上の問題が明らかになり、アップデートが必要になってきました。b2 コミュニティがパッチや修正を作成することもできたのですが、誰もこのソフトウェアプロジェクトを前に進めていこうとする人がいませんでした。ミッシェルが b2 を GPL ライセンスでリリースするよう決めてくれたことは、僕らにとってラッキーでした。ソフトウェア自体が見捨てられてしまっても、オプションがなくなってしまうわけではないからです。可能性が常にあったのです。僕が b2 をフォークすることについてブログを書きマイクがコメントしてくれた 2003年1月の状況は、そんな感じでした。それから先のことは、いわゆる「歴史」となりました。

最初の頃から今日まで、僕は WordPress に関わる開発者たちの考え方、気配り、そして情熱に感銘を受けてきました。みんながそれぞれユニークな視点を持ってきてくれて、ひとりひとりが全体を強くしてくれました。すべての人たちにひとりずつお礼を言うことは不可能です。でも、みなさんの成し遂げてきたことを見れば、そのすばらしさは明白です。WordPress 1.2 では、新プラグイン API によって開発者が WordPress を拡張しやすくなりました。この同じリリースで、gettext() 国際化がすべての言語に対して WordPress の入り口を開いてくれました (何時間もかけて文字列を gettext 関数で書き換えてくれた、ライアン・ボレン。ありがとう ! ) 。WordPress 1.5 では、テーマシステムの導入により WordPress のユーザーはサイトのデザインをすばやく変えることができるようになりました。その頃、コミュニティからテーマシステムに対する大きな反発がありましたが、今ではテーマがない WordPress なんて考えられませんよね。バージョン 2.7、2.8、2.9 では、プラグインやテーマをワンクリックインストールするための改善を行いました。WordPress は Happy Cog (2.3) によるリデザインも経験し、大規模なユーザーテストと再度のリデザイン (Crazyhorse / リズ・ダンジコとジェン・マイロ / WordPress 2.5) を行いました。WordPress 3.0 では WordPress MU (マルチサイト) と WordPress を統合。ものすごく大変な作業でしたが、苦労の分の価値があったといえます。そして WordPress 3.5 ではメディアアップローダーを改善し、画像・動画・メディアをオンラインで公開するのをさらに簡単にしました。

ユーザーエクスペリエンス向上のために最大限の努力をした結果、あまり支持されなかった変更もいくつかありました。WYSIWYG エディターは多くの人(特に「HTML を知らなければブログを書くべきではない」と感じていた人たち)に嫌がられました。僕らが書き換えを行わず古いコードにこだわっていたことを嫌がる開発者もいました。でも僕らにとっていちばん重要なのはいつもユーザーであり、それは今も変わりません。開発者が気を揉むことになったとしても、ユーザーのサイトが壊れてしまうよりはいいということです。WordPress のコードには美しいといえないものもあります。WordPress が始まった頃、僕たちの多くはまだ PHP を学んでいる途中だったのです。でも、常にユーザーにとっての体験がなるべくスムーズになるように努めてきました。

開発者がすべての中心というわけではないのです。WordPress の強みは、コミュニティの多様性にあります。初心者への敷居は低くしたかったので、プロジェクトの初期に「5分間インストール (famous 5 minute install) 」というフレーズを採用しました。これによって、さまざまな技術的背景を持つユーザーが使い始めてくれました。コードを書かないユーザーも、WordPress をもっと良くするために手を貸したいと思ってくれました。コードが書けないことは問題ではありません。サポートフォーラムで質問に返事をしたり、ドキュメンテーションを書いたり、WordPress を翻訳したり、友達や家族に WordPress でサイトを作ってあげることもできたからです。WordPress への情熱を持つすべての人には、コミュニティの中での居場所があります。

これまで、インターネット上に自身の「ホーム」を構築するために WordPress を使ってくれた人たちを目にしてきましたが、とてもすばらしいことです。初期の頃、僕らは「スイッチャー (switchers、サイトを切り替えた人) 」たちを見つけてはとても興奮したものでした。ライターのオム・マリックマーク・ピルグリムモリー・ホルツシュラグなどが WordPress にスイッチすることで、僕らは実験やイタズラ好きな人達が集まるコミュニティの中で大きくなっていきました。パブリッシングをもっと楽にするために専念してきた僕らの努力は間もなく功を奏し、その勢いは今も続いています。WordPress 1.2 リリースの一日平均ダウンロード数は822回でした。最新版 WordPress 3.5 では、一日に145,692回ダウンロードされています。

ユーザーの方が WordPress を使って作り出すものにはいまだに驚かされます。ミュージシャンフォトグラファーライフ誌などの雑誌社、BoingBoingニューヨーク・オブザーバー政府のサイトファイルシステムモバイルアプリ、そして WordPress がミサイルを誘導するのさえ目にしました。 :)

Web が進化するに従って、WordPress も進化しています。僕らのコントロールできない外的要因は、常に WordPress の開発に影響を及ぼしています。今日のモバイルデバイスや Retina ディスプレイのような要素は、将来には Google Glass やまだ発明されてもいない技術になるかもしれません。10年間というのは、たくさんのことが起こりうる期間です ! テクノロジーが変化し前進していくにつれて WordPress も変化していく必要がありますが、「オンラインパブリッシングを誰にとっても簡単なものにすること」というコアバリューには忠実でいなければなりません。こういったチャレンジをどうやって乗り越えていくかによって、これから10年の WordPress がどんなものになるかが決まるといえるでしょう。

WordPress の10年間を祝して、歴史を記した電子書籍を作成中です。現在、コミュニティに最初の方から関わってくれていた人たち、今も関わってくれていいる人たち、そして今は参加していない人たちにインタビューしているところです。これは非常に大きなプロジェクトですが、10周年の年になにか共有できるものを残したかったのです。僕とマイクが b2 をフォークした直後、WordPress の初期の時代について知りたい方は、3章をこちらからダウンロードできます。残りの内容は徐々に公開していく予定ですので、お楽しみに。

一方、僕も WordPress への手紙を書き、ほかのコミュニティメンバーも思いをシェアしてくれました。

WordPress の10周年記念が世界中で祝われた様子は、wp10 サイトでご覧いただけます。Meetup.com のサイトによると、計4,999人の参加者がいたそうです。

終わりに、みなさんに「ありがとう」とお伝えしたいです。コードを書いてくれる開発者、WordPress を彩ってくれるデザイナー、そして WordPress をたくさんの言語に翻訳してくれる世界中のコミュニティ、サポートの質問に答えてくれるボランティアの皆さん、WordPress をアクセシブルにするために努力してくれている皆さん、システムチーム、プラグイン・テーマレビューチーム、ドキュメンテーション執筆者、イベント運営者、エバンジェリスト、批判をしてくれた人たちも、支えてくれた人たちも、友だちも。音楽を通して僕たちをインスパイアしてくれたり、WordPress のリリース版ニックネームとして名前を貸してくれたジャズ・ミュージシャンたちに。WordPress を使ってブログを書いたりサイトを運営している皆さんに、そして、これから WordPress を使ってくれる皆さんに、ありがとう。それから、WordPress と、一人のメンバーとして誇りに思う WordPress コミュニティに感謝の気持を込めて。

ありがとう。これからの10年、どんなことが起こるか待ちきれません。

最後になりますが、この投稿を手伝ってくれたショバーン・マキューン、ありがとう。