WordPress 6.4 ベータ 1

以下は WordPress.org 公式ブログの記事「WordPress 6.4 Beta 1」を訳したものです。

誤字脱字誤訳などありましたらフォーラムまでお知らせください


WordPress 6.4 ベータ 1 をテストしていただく準備が整いました。

これは WordPress ソフトウェアのベータ版、つまり開発途上のものです。このバージョンの WordPress を本稼働中のウェブサイトにインストールして使用することは避けてください。ベータ版の評価はテスト用のサーバーを用意してその上で行いましょう。

WordPress 6.4 ベータ 1 のテストには次の三通りの方法があります:

  1. プラグイン: WordPress Beta Tester プラグインをインストールして有効化する。設定では「最前線」チャンネルと「ベータ / RC のみ」ストリームをそれぞれ選択。
  2. 直接ダウンロード: ベータ 1 バージョンの zip ファイルをダウンロードして WordPress ウェブサイトにインストールする。
  3. コマンドライン: 次の WP-CLI コマンドを実行する:
    wp core update --version=6.4-beta1

WordPress 6.4 の最終リリース目標日は2023年11月7日に設定されています。最高の状態でのリリースを確かなものにするためには皆さんのテスト参加による協力が重要になります。

WordPress 6.4 のリリースは過小評価ジェンダー・リリース部隊がお届けしています。過小評価されたジェンダーを自認する人々の参加と連帯を促す WordPress オープンソースプロジェクト内の小グループです。

もっと詳しく知りたい方は、6.4 リリースサイクルの概略Make WordPress Core ブログ6.4 関連記事 を参照してください。

テストにご協力を

テストを行うことはソフトウェア開発における重要課題の一つです。テストに参加することで経験を問わず誰もがプロジェクトに貢献できます。こちらの詳細な手引きを参照して WordPress 6.4 の主要機能のテストについて学びましょう。

問題に遭遇したかもと思った時は、まずサポートフォーラムのアルファ・ベータエリアに報告をしてください。再現可能なバグ報告の作成に慣れている方は WordPress Trac への報告をお願いします。既知のバグの一覧も Trac で閲覧可能です。

WordPress リリースのテスト全般について知りたいですか? Make WordPress Test をフォローする、Making WordPress Slack#core-test チャンネルに参加する、などの方法があります。

Gutenberg 関連については一連の What’s new in Gutenberg 投稿 (16.216.316.416.516.616.7) に目を通すことで WordPress 6.3 以降にあった更新について把握できるでしょう。

WordPress 6.4 ベータ 1 には 6.4 マイルストーンの190件を超す Trac チケット、エディター関連の400件超の機能強化と370件のバグ修正が含まれます。

ベータ期間中は脆弱性報告報奨金が2倍に

WordPress の各新バージョンについて、それぞれの ベータ 1 から最終のリリース候補版 (RC) までの期間、未発表のセキュリティ脆弱性の報告に対する報奨金の額が2倍になります。報告は HackerOne のページならびにセキュリティ白書に記載のセキュリティプラクティスとポリシーに沿った責任ある情報公開手順に従って適切に行なってください。

WordPress 6.4 で何が変わるか

WordPress 6.4 に導入されるのは、多用途のデフォルトテーマ、新機能の数々、そして執筆、デザインからワークフロー効率に至るまで複数領域にまたがる WordPress 体験を強化するための数え切れないほどのアップデートです。WordPress ロードマップの第3フェイズに向けて重要な取り組みが続きます。これからいくつかの重要なポイントについて見ていきましょう。

Twenty Twenty-Four (2024) テーマ登場

Twenty Twenty-Four という名前の新しいデフォルトテーマが WordPress 6.4 の公開にあわせて登場します。多種多様なテンプレートとパターンを備え、起業家、小規模事業者からアーティストやライターに至るまでの幅広いユースケースをカバーできるテーマです。Twenty Twenty-Four はまた、最新のデザイン手法とサイト編集機能を強く押し出し、ブロックの柔軟性を最大限に活かすことで、ほんの少しの操作によって無限の創造的可能性を解き放つことを現実にします。どうぞテーマ開発の進捗についてフォローしていただき、問題を発見した場合には GitHub のリポジトリまで報告を上げてください。

フォントを管理する

WordPress 6.4 にて新しいフォント管理機能が導入されます:

フォントライブラリは、メディアライブラリがメディア資産を管理するのに似た感覚で、サイトで使用するフォントの管理をテーマへの依存なく実現します。ローカルのフォントまたは Google フォントのインストールを容易にし、個々のテーマごとにどのフォントを有効にするかの選択を可能にします。サイトのデザインとブランディングを本質的に左右するフォントの管理がコーディング不要で実現できるようになります。拡張可能性を備え、カスタムのタイポグラフィコレクションによるフォント選択の拡張が可能です。

もうひとつの新機能、フォントフェイス (Font Face) は、サーバーサイドでの @font-face スタイル生成とプリンティングのサポートを提供します。wp_print_font_faces() という新しいグローバル関数が導入され、これによりエディターもしくは有効なテーマにより設定されたスタイル情報から導き出されるフォントデータが処理されます。

ご注意ください: フォントライブラリは次回以降の 6.4 ベータ版での導入を予定しています。

画像に Lightbox 機能を追加する

Lightbox 機能を利用して画像をインタラクティブに展示しましょう。画像ブロックで新たに利用可能になるこの機能により、既存コンテンツの上に画像を開いたり拡大表示することが可能になります。

向上した新しい執筆体験をお楽しみください

新しいキーボードショートカットからより信頼性の高い外部テキストの貼り付けに至るまで、6.4 がもたらす数々の機能向上は WordPress の執筆体験をさらに滑らかで愉快なものにします。加えて、ナビゲーションリスト引用の各ブロックで利用可能になる新鮮なツールバー体験によって操作はこれまで以上に効率的で直感的なものになるでしょう。

充実したデザインツールでもっと創造的に

さらに高度なレイアウト制御と柔軟性—新しいデザインツールにより WordPress の創造体験はさらにすばらしいものになります。いくつかの更新を挙げると:

  • グループブロックの背景画像指定により創造的でカスタマイズされたレイアウトを実現。
  • 画像プレースホルダーの縦横比指定。パターンを作成、使用する際に特に便利に使えそうな新機能です。プレースホルダーの望ましい縦横比を指定しておいて、画像をドラッグ・アンド・ドロップします。するとサイズが調整され、デザインの一貫性を保つのに役立ちます。
  • グループカラムの両ブロックにおけるボタンと見出しの色のカスタマイズ。これらの包含ブロック内に配置される要素の外観を指定でき、セクション指定でのスタイリングの実現に一歩近づきます。この機能は今後のリリースでさらに開発が進むことが見込まれています。
  • 同期パターンにおける文字揃えの設定。ワイド、最大幅、左揃え、右揃えのブロックに同期パターンを作成、転用する際に、文字揃え属性を維持しつつ継ぎ目のないサイト編集とパターン作成を実現します。

ワークフローの改善

サイトエディターの進化と機能拡張はこれからも続き、それを支えるインターフェイスとツール群もまた改良されていきます。

WordPress 6.3 で最初に導入されたコマンドパレットはアクション実行、検索、サイトコンテンツと設定への速やかな移動に役立つ機能ですが、6.4 で大きく改良されます。デザインの更新、ブロック指定のアクションを実現する新コマンド群より良いコマンド言語とアクション一貫性を向上しました。

リストビューはサイトを構成するブロックを一覧、操作するのに役立つ機能ですが、6.4 ではそのインターフェイスと使い勝手に改良が加えられさらにパワフルになります。グループブロックの名前変更ギャラリーと画像ブロックでのメディアプレビュー表示キーボードショートカットによるブロックの複製が可能になります。

パターンの進歩

パターンはサイト編集において需要な役割を果たす機能です。今後のリリースでもその重要性が変わることはありません。

6.4 ではカテゴリー付きの同期あるいは非同期パターンの編成が可能になります。これらのカテゴリーはパターン挿入の際の分類に利用でき、パターンの発見や追加を容易にします。加えて、カスタムパターンへのアクセスがブロック挿入 UI のパターンセクションにまとめられ、便利になります。同期パターンのための個別タブは廃止されます。

その他の改善点としては、JSON ファイルを介したパターンのインポートとエクスポート、再利用ブロックとの後方互換性の確保、サイト間のパターン転送を可能にする機能が挙げられます。

最後に、WordPress 6.4 ではクラシックテーマとの互換性に向上が見られるでしょう。これにはパターン作成と管理のために 6.3 で導入された基礎機能が土台となっています。ダッシュボードの外観メニューに追加される新しいパターンタブから、サイトエディターで利用できるパターンインターフェイスへのアクセスが可能になります。

ブロックフックの導入

ブロックフックはブロックテーマの拡張可能性を高める強力な新機能です。WordPress のフックの概念から着想を得て開発されました。プラグインを有効化するだけで、別のブロックの相対位置に自動的に指定されたブロックを挿入することができます。わかりやすい例を挙げると、投稿コンテンツブロックのすぐ後ろに「いいね」ボタンのブロックを自動挿入する、というようなことです。

ブロックフックは開発者本位な機能ではあるものの、ブロックの利用をより直感的なものにし、自動挿入されるブロックが「どこに」「どのように」あらわれるかについての高度なカスタム化とコントロールを可能にする点で、ユーザー体験の向上にもつながる機能と言えるでしょう。「プラグイン」と名付けられた新しいブロックインスペクターパネルはクリエイターの好みを尊重するよう設計されており、ブロックフックの追加、棄却、位置変更を思いのままに実現することを可能にします。

アクセシビリティ

WordPress 6.4 では総計70件のアクセシビリティ改善が導入される予定です。そのうちの60件はベータ1で導入されます。ユーザーインターフェイス (UI) 体験を向上させる特筆すべき更新として、工夫されたボタン配置「新規追加」管理メニュー項目のコンテキストサイトヘルスにおけるメッセージ読み上げの改善が挙げられます。

加えて、メディアライブラリにおける画像編集の修正ログイン画面におけるエラー報告表示GIF の「動き無し」設定が実装されています。自動化された UI テストで見られた偽陽性のエラーについてはその原因が修正されました。JavaScript が動作しない環境のユーザーは Classic Editor プラグインのインストールページへの直接リンクを目にするようになります。これらの変更やその他 6.4 で導入されるアクセシビリティ改善についての詳しい情報は WordPress Trac で閲覧できます。

パフォーマンス

WordPress 6.4 では100件を超すパフォーマンス関連のアップデートが導入されます。それには、ブロックテーマとクラシックテーマのテンプレートローディングパフォーマンスの改善、コア、ブロック、そしてテーマにおける defer と async のスクリプトローディングストラテジーの使用、そして自動ロードオプションの使用を最適化する新しい関数群が含まれます。

ここに挙げられた新機能の導入に関しては最終リリースまでに変更となる可能性があることをご留意ください。


(訳註: 愉快な俳句と執筆貢献者の一覧については日本語訳から割愛します。興味のある方はぜひ原文記事をご覧ください。)