以下は WordPress.org 公式ブログの記事「WordPress 6.5 Beta 1」を訳したものです。
誤字脱字誤訳などありましたらフォーラムまでお知らせください。
WordPress 6.5 ベータ 1 をテストしていただく準備が整いました。
これは WordPress ソフトウェアのベータ版、つまり開発途上のものです。このバージョンの WordPress を本稼働中のウェブサイトにインストールして使用することは避けてください。ベータ版の評価はテスト用のサーバーを用意してその上で行いましょう。
WordPress 6.5 ベータ 1 のテストには次の四通りの方法があります:
プラグイン | WordPress Beta Tester プラグインをインストールして有効化する。設定では「最前線」チャンネルと「ベータ / RC のみ」ストリームをそれぞれ選択。 |
直接ダウンロード | ベータ 1 バージョンの zip ファイルをダウンロードして WordPress ウェブサイトにインストールする。 |
コマンドライン | 次の WP-CLI コマンドを実行する。wp core update --version=6.5-beta1 |
WordPress Playground | 6.5 Beta 1 WordPress Playground インスタンスを使用する。ブラウザで直接ソフトウェアをテストできます。個別のサイトやセットアップは必要ありません。 |
WordPress 6.5の最終リリース目標日は2024年3月26日に設定されています。最高の状態でのリリースを確かなものにするためには皆さんのテスト参加による協力が重要になります。
もっと詳しく知りたい方は、6.5 リリースサイクルの概略、Make WordPress Core ブログの 6.5 関連記事 を参照してください。
テストにご協力を
テストを行うことはソフトウェア開発における重要課題の一つです。テストに参加することで経験を問わず誰もがプロジェクトに貢献できます
問題に遭遇したかもと思った時は、まずサポートフォーラムのアルファ・ベータエリアに報告をしてください。再現可能なバグ報告の作成に慣れている方は WordPress Trac への報告をお願いします。既知のバグの一覧も Trac で閲覧可能です。
WordPress リリースのテスト全般について知りたいですか ? Make Core におけるテスト関連タスクをフォローし、Making WordPress Slack の #core-test チャンネルに参加してください。
WordPress 6.5には、これまで Gutenberg プラグインでのみ利用可能だった多くの新機能が含まれています。Gutenberg 関連については一連の What’s new in Gutenberg 投稿 (16.8, 16.9, 17.0, 17.1, 17.2, 17.3, 17.4, 17.5, 17.6, 17.7 (2/14 リリース予定)) に目を通すことで WordPress 6.4 以降にあった更新について把握できるでしょう。
WordPress 6.5 ベータ 1にはエディターに関する約681個の拡張と488個のバグ修正が含まれています。この中には約229個の WordPress 6.5コアチケットが含まれます。
ベータ1期間中は脆弱性報告報奨金が2倍に
WordPress コミュニティは未発表のセキュリティ脆弱性の報告に対する報奨金をスポンサーしています。2月13日のベータ1から3月19日に予定されている最終のリリース候補 (RC) までの期間、この報奨金は2倍になります。報告は HackerOne のページならびにセキュリティ白書に記載のセキュリティプラクティスとポリシーに沿った責任ある情報公開手順に従って適切に行なってください。
WordPress 6.5 の新機能
今年最初のメジャーリリースとなる WordPress 6.5においては、サイト構築体験を制御する開発者向けの方法が、さらに洗練され、チューニングされます。フォントやスタイルを管理する方法が増え、同期パターンも大幅にアップグレード。サイトエディターコレクションやパフォーマンスのアップデートにより作業は効率化され、クラシックテーマにはデザインツールを活用する新しい方法が追加されます。
WordPress 6.5にはまったく新しい基盤的な API も導入されます。ブロックを使用した、忘れられない体験を生み出す変革が始まります。この初期段階のフレームワークをあなた自身が本リリースで探索し、進化の方向を見出すことで、将来の改善や機能の向上に寄与できます。
ワクワクしてきませんか ? 以下にハイライトをご紹介します。
こんにちは、フォントライブラリ
当初 WordPress 6.4でリリース予定だったフォントライブラリは、待っただけの価値がある素晴らしい機能の一つです。サイトデザインの重要な要素であるタイポグラフィを効率的に管理できます。コーディングや追加の作業は必要ありません。
フォントライブラリでは、有効化されているテーマに関係なくサイト全体でフォントを処理できます。ちょうどメディアライブラリでアセットを管理するのに似ています。ローカルフォントや Google Fonts をインストールできます。拡張も簡単で、独自のカスタムタイポグラフィコレクションを追加できます。
アップグレードされた同期パターン
同期パターンはデザインプロセスを効率化しました。特定のレイアウトをグローバルに、最小限の労力で変更できます。しかしコンテンツに関しては、コンテキストに応じた変更が必要になることがあります。
WordPress 6.5では同期パターンに新しい拡張が追加され、特定のインスタンスごとにコンテンツを上書きできるようになりました。すでに作成したデザインやレイアウトはそのままに、同期パターン内で更新できる箇所を指定できます。レシピ、お客様の声、ケーススタディなどのテンプレートとして使うことで、繰り返し使用する要素を個々のコンテンツのフレームとして利用できます。
今回のメジャーリリースでは、段落、画像、見出し、ボタンブロックの上書きがサポートされます。今後、同期パターンの拡張が進めば、さらに多くのブロックがサポートされる予定です。
ブロックとカスタムフィールドやその他の動的データとの接続
WordPress 6.5ではついに、コアブロックの属性とカスタムフィールドを接続できます。この機能により、カスタムブロックを作成せずに、カスタムフィールドの値を使用できます。例えば、デジタル出版物ではカスタムフィールドを段落ブロックと画像ブロックとで使用し、各スタッフライターのプロフィールから情報を取得し、顔写真や名前などの情報をチームのページに動的に表示できます。
この機能は Block Bindings API によって実現されます。Block Bindings API はカスタムフィールドだけでなく、あらゆる動的データとブロックを接続できる拡張性をもって設計されています。データが別の場所に保存されていても、新しいソースとブロックを簡単に、わずか数行のコードで関連付けできます。
これはカスタムフィールドやその他の動的データの管理方法を簡素化する、より大きなプロジェクトの第一歩です。
コアに組み込まれた Interactivity API
WordPress 6.4ではわずかに画像のライトボックス機能として始まった Interactivity API が正式にコアに組み込まれました。Interactivity API は新しいフレームワークです。ブロックにインタラクティブなフロントエンド体験「インタラクション」をもたらす標準の方法を開発者に提供します。最適なパフォーマンスを維持しながら、外部ツールへの依存を減らし、プロセスの簡素化を目的とします。
インタラクションは魅力的なユーザー体験を生み出します。ページをリロードすることなく新しいコメントを表示し、検索結果を取得します。訪問者はリアルタイムでコンテンツとやり取りでき、カウントダウンや画面遷移アニメーションのようなエフェクトを組み込めば、驚きと喜びにつなげられます。このフレームワークで何ができるかについてのデモをご覧ください。
WordPress 6.5は、この開発者体験をコアにもたらす始まりに過ぎません。この開発をフォローし、支援し、より多くの機能をテストする方法をご覧ください。
リビジョンからもっと情報を
リビジョンは進歩の道しるべです。クリエイティブなプロジェクトにおいて、リビジョンは新しいデザインやコンセプトで作業する際の、いざという時のためのありがたい存在になります。このリリースではサイトエディター内のスタイルのリビジョン履歴が、より詳細化されました。
WordPress 6.5のスタイルリビジョンは過去の作業におけるデザインの更新を、タイムスタンプや変更点の概要を示すクイックサマリーとともにより詳細に表示します。直前の100回のリビジョンではなく、全リビジョンリストを表示する機能もあります。スタイルブックからリビジョンを表示すれば、作業中のテンプレートの変更を破棄せずに、過去の変更を確認できます。スタイルリビジョンは、テンプレートやテンプレートパーツでも新たに利用でき、サイトの変更点をより幅広く確認できます。
WordPress 体験全体でリビジョンを拡張、改善するさらなる作業が期待されています。これは、Gutenberg プロジェクトのフェーズ3で重視される、共同編集とワークフローの基礎となる部分です。
クラシックテーマでの外観ツールの選択
ブロックテーマのデザイン体験は進化し、改善されましたが、このアップグレードの多くをクラシックテーマでも利用できます。テーマの作者は任意のクラシックテーマに外観ツールのサポートを追加できます。theme.json は必要ありません。クラシックテーマを使用しているデザイナーやサイト制作者も、スペースやボーダーのコントロールからタイポグラフィや色のオプションまで、多様なデザインオプションにアクセスできます。
テーマの切り替えは大変な作業に感じられます。ブロックテーマの柔軟性に飛び込む準備のできていないユーザーにとって、こうした適用方法は緊張を和らげてくれるはずです。いったんクラシックテーマが外観ツールをサポートすると、利用可能になったデザインオプションは自動的に追加されます。
まだまだあるデザインツール
WordPress の各リリースは、サイトエディターでの制作に新しい工夫と注意を注ぎ込んできました。デザイン体験に対する最新の改善では、クリエイティブなビジョンの実現を支援します。
- グループブロックの背景画像はサイズと繰り返しをサポートします。繊細な方法や派手な方法でレイアウトに視覚的な興味を加えられます。
- カバーブロックのアスペクト比サポートにより、カバーブロックの画像の形やサイズをより自由にコントロールできます。
- さらに多くのブロックに影のサポートが追加され、視覚的に奥行きのあるレイアウトを作成したり、デザインにちょっとした個性を加えられます。
ワークフローを効率化する改善されたサイトエディター
重要なインターフェースの改善からアップグレードされたツールに至るまで、サイトエディター機能の最新の進歩によりサイト構築プロセスが簡単、かつシンプルになりました。
グループブロックだけでなく、リストビュー内のすべてのブロックの名前を変更できるようになりました。個別にパターンの名前を変更、複製して、パターンを整理しやすくできます。その他に追加された、注目すべき UI の改善点としては、リストビューから右クリックでブロック設定に素早くアクセスできる機能、エディターの設定パネル内に統合、整理された設定機能、執筆集中モード時にホバーでブロックツールバーを使用できる機能があります。
またすでにお気づきのようにリンクコントロールの改善により、クリーンで統一されたリンク構築体験が実現しました。さまざまなブロックでリンクの作成と管理が容易になります。
このリリースにはドラッグアンドドロップに関する多くの機能強化が含まれ、編集体験はより直感的になりました。視覚的な調整が行われ、リストビューで並べ替えのため項目をドラッグすると他の項目が動きに合わせて移動します。また、エディター内の先頭から末尾まで、好きな場所にドラッグアンドドロップできます。
サイトエディター内の新しいデータビュー
サイトのすべての部品には、情報とデータのライブラリが付属します。情報の整理や、必要な情報の発見、情報をもとにした変更は、サイトの編集と同じくらい簡単であるべきです。
WordPress 6.5には、ページ、テンプレート、パターン、テンプレートパーツのデータビューがあります。データをテーブルビューまたはグリッドビューで参照でき、フィールドの切り替えや一括変更のための新しい UI があります。この新鮮で、機能に満ちた経験は、WordPress のロードマップにある今後の管理画面のデザイン刷新プロジェクトにつながります。
プラグインの依存関係によるプラグイン体験の向上
WordPress 6.5では、他のプラグインを必要とするプラグインの管理方法が改善されました。プラグインの作者は新しい Requires プラグインヘッダーに、WordPress.org プラグインリポジトリ内の必須プラグインを、カンマで区切ったスラッグのリストで指定できます。
必須プラグインは、それを必要とするプラグインが有効でインストールされている限り、有効でインストールされていなければなりません。必須プラグインが無効化、またはアンインストールされると、それを必要とするプラグインは自動的に無効化されます。
編集エクスペリエンス全体での大幅なパフォーマンス向上
WordPress 6.5には110個以上のパフォーマンス関連の更新があり、中でも、投稿エディターとサイトエディターの両方で、スピードと効率が大幅に向上しました。読み込みは WordPress 6.4より2倍以上速く、入力処理速度は以前のリリースより4倍近く速くなりました。サイトエディターでの操作は6倍も速くなりました。
Performant Translationsがコアにマージされたことにより、翻訳版サイトのロード時間が短縮されました。複数のロケールを同時に読み込むことで、翻訳サイト全体のロード時間が大幅に改善され、ロケール間の切り替えはより速く、そしてより楽しい体験になります。
アクセシビリティの見どころ
誰もが WordPress を使用できるよう保障することは、WordPress が成功し、「パブリッシングの民主化」という使命を果たすために非常に重要です。これを念頭に置いて、WordPress 6.5 ではプラットフォーム全体のアクセシビリティ向上のために65件以上のアップデートが同梱される予定です。これには、コントラスト設定、カーソルのフォーカス、サブメニュー、要素の位置などの修正が含まれます。特定のチケットと改善点の詳細については、WordPress Trac および GitHub 上の Gutenberg リポジトリをご覧ください。
注意: この記事でハイライドされている機能は、最終リリースまでに変更される可能性があります。
おまけ: ベータ1の俳句
Freedom to publish
Blocks, fonts, patterns all around
Design as you wish
パブリッシングの自由
あらゆる場所でのブロック、フォント、パターン
思いのままにデザイン
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