「GPL v2 またはそれ以降」との互換、100% GPL、スプリットライセンスの違い
「GPL v2 またはそれ以降」との互換
WordPress のライセンスは「GPL v2 またはそれ以降」であり、プラグインやテーマといった派生物を頒布する際に採択するライセンスは GPL v2 と互換性があるもの、または GPL のより新しいバージョンと互換性があるものである必要があります。
100% GPL
「100% GPL」とは「PHP のコードのみではなく、その派生物に含まれる JavaScript・CSS・画像・音声ファイル・アイコン・フォントなどすべてのアセットに対して GPL または GPL 互換ライセンスを採用すること」です。
スプリット・ライセンス
PHP コードのみが GPL (または GPL 互換ライセンス) であり、その他のアセットのすべてまたは一部が GPL 互換ではないライセンスは、スプリット・ライセンス (split = 分割) と呼ばれます。
スプリット・ライセンスを適用することは、法的には問題ありません。
2009年に公開した「テーマも GPL ライセンス」というブログ記事で、ソフトウェア・フリーダム・ロー・センターの弁護士は以下のように説明しています。
[…] WordPress テーマは WordPress の著作権の元にあるコードの派生物を含んでいます。それぞれ独自の作品である画像、CSS、PHP ファイルをまとめたこれらのテーマは、全体的を GPL ライセンスにする必要はありません。むしろ、PHP ファイルは GPL ライセンスの要件に制約されるが、画像や CSS はそうではないと言えます。サードパーティのテーマ開発者は、希望するなら制限付きの著作権を適用することができます。
コミュニティガイドラインにおける「100% GPL」
WordPress 公式ディレクトリにテーマやプラグインを掲載する際は、100% GPL または完全に GPL と互換性のあるライセンスを採択する必要があります。また、WordPress.org コミュニティガイドラインに基づいたイベント (WordCamp、WordPress Meetup など) にスピーカー・運営者・スポンサーとして参加する個人または企業も、頒布や宣伝する WordPress 派生物が同様のライセンスを採択していることが参加の必須条件となります (一般参加者に対しては制限はありません)。
法的問題の有無
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コミュニティガイドライン
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GPL 互換(100% GPL) | 問題なし | 合格 |
スプリット・ライセンス | 問題なし | 不合格 |
GPL 非互換 | 問題あり | 不合格 |
WordPress コミュニティが「100% GPL」を選択する理由
「コミュニティガイドライン」における「100% GPL」は「ライセンスの法的な解釈」とは観点が異なっています。
前述の記事の中で、WordPress 共同創始者マット・マレンウェッグはこのように書いています。
画像や CSS が GPL であることは法的には必須ではありませんが、これらがなければかなりテーマに制限ができてしまいます。
WordPress.org や WordCamp などにおいてオープンソース開発やコミュニティ活動を活発にするには、そこで扱われる派生物も 100% GPL であることがふさわしい、というのがマットや WordPress Foundation を含むコミュニティの見解といえるでしょう。
また、彼の解釈とその理由は以下の動画でも詳しく説明されています (右下の「CC」部分をクリックすると、日本語の字幕が選択できます)。
関連情報
ライセンスの定義や100% GPL の背景にある理念についてさらに詳しく知りたい方は、以下のページをお読みください。
- WordPress.org
- WordCamp Japan
- WP-D
- ミルログ
- GNU オペレーティング・システム