do_action Japan 2020 オンラインチャリティハッカソン開催レポート
5月16日と17日の2日間、約70名の WordPress コミュニティメンバーと9つの非営利団体の担当者が集結し、do_action Japan 2020 イベントを通したサイト制作の協働を行いました。
WordPress Meeetup の一形態であり、2015年に南アフリカのケープタウンでスタートした do_action ですが、今回のイベントは初の日本での開催、そして史上初のオンライン開催となりました。今後運営や参加を考えている方のために、レポートを残しておきたいと思います(英語版のレポートはこちら)。
各視点からの感想
運営チームより
非営利団体の応募開始当初は1件しか申し込みがない時期がしばらく続き、SNS での発信をしたり、法人化していないグループやプロジェクトからの申請も受け入れる説明などを充実させたりと工夫が必要でした。運営メンバーからの口コミや、中間支援組織からのアウトリーチなどを通して、最終的には上限の枠を超える申し込みを頂きました。
今回の運営チーム15名は全員が WordCamp や Meetup のオーガナイザー経験者でした。初めてのことばかりにも関わらず、能動的な動きと経験のおかげで準備は比較的スムーズに進みました。
一方、開・閉会式や懇親会、Slack での進行など、オンラインイベントに慣れておらず準備不足だった点もありました。参加者にとっては全体での Zoom など「リアルタイムイベント」部分の満足度というのはイベント全般の印象に大きく関わってくると思いますので、今後これは改善していければと思います。
非営利団体担当者より
イベント後のアンケートによると、非営利団体の方からの満足度は特に高く、制作ボランティアの方がスキルを最大限に活用して良いサイトを作ってくださったことへの喜びの声が多かったです。「2日間の初めてのハッカソンは学びの場でした。技術力・集中力の高さに感激しました」「それぞれができることを持ち寄り真剣に取り組むことで、オンライン上でも全く障害なく、そして楽しんで取り組む事ができました」などのお言葉をいただきました。
制作ボランティアより
制作ボランティアからは、全般的には制作やコミュニケーションも円滑で、いつもはできない経験から学ぶものが多かったという意見が多数派でしたが、時間制限のある中でニーズを聞き取って形にしたり、今後の運用のための情報共有まで仕上げるのはなかなか大変だったという方も少なくなかったです。「タスク量が多く、スケジュール管理がゆるかったため最後が苦しかったです」「大変だったけれど有意義でした」「未経験でしたが実務に近い状況を見ることができ、貴重な体験になりました」など、多くのご意見をいただきました。
オンライン開催のために使ったツール
イベント運営には、以下のような無料ツールやサイトを活用しました。doaction.org サイトには団体・ボランティア募集やメール送信機能が付いていることもあって、準備期間が短いのでなるべくシンプルに…と思いつつ、やはり Google Apps を始めとしてどうしても必要なツールを徐々に追加していく結果になりました。「最低限プラスアルファ」のイベント運営の参考になれば幸いです。
- doaction.org サイト(団体・制作ボランティア募集、情報掲載)
- Slack(イベント準備・当日のコミュニケーション)
- Zoom(運営 & チーム別ミーティング、開会式・閉会式)
- Gmail(お問い合わせ、スポンサー対応)
- Google フォーム(運営チーム & スポンサー募集・事後アンケート)
- Google スプレッドシート(タスク & データ管理)
- Google ドキュメント、HackMD(文書の共同編集)
- Google スライド(開会式・閉会式のプレゼン)
- Figma(イベント向けデザイン)
- Twitter、Facebook ページ、YouTube(広報)
また、開催前日に Slack が短期間システムダウン、最終日の懇親会の時間に Zoom がダウン、という経験もしました。運営チーム用や運営とディレクター全員をつなぐ Facebook メッセンジャーグループを事前に作っておいたり、懇親会は Google Meet や SpatialChat を活用して進めたりという回避策を取りましたが、バックアップの連絡方法の重要性を感じました。
用意したドキュメンテーション&サイト内追加ページ
今回、doaction.org の既存ページに加えて以下のページを追加しました。
また、開催1回目ということで、制作サイトのイメージを持っていただくためにサンプルサイトを運営チームメンバーそれぞれで制作しました。
制作指針については @mimitips & @ippei-sumida さんが中心にとても良くまとまったものが完成したので、今後も GitHub で管理して追記・改善していく予定です。ぜひどなたでも編集にご参加ください。
スポンサー
オンライン開催ということで新たに整備する必要があった情報には、スポンサー関連のものもあります。今回(イベント開催に向けた金銭的なスポンサーではなく)、制作に役立つツールやサービスの提供のみを募集するにあたって、「継続性のある支援」をお願いしました。
結果として、ホスティングの永年無料支援や有料テーマの10年以上の更新を含む提供などに快諾していただくことができ、多くのチームが実際に活用させていただいていました。一方、こういった条件でのプロダクト提供リクエストは WordCamp などのイベントでは行ったことがなく、調整の結果お受けできなかったオファーもありました。今後再びツールスポンサーを募集する場合は、条件をより明確にすることで誤解が生まれないように配慮したいと思います。
スポンサー企業の担当者の方にも Slack に参加していただいたところ、プロダクトへの質問対応や即時のバグ修正など、非常に手厚いサポートまで行ってくださいました。本当にありがとうございました。
制作サイト一覧
今回完成したサイトは以下のとおりです(※のサイトはまだ移行中です)。
- 一般社団法人ENGAWA
- みんなの直売所MAPプロジェクト(みんちょくbuy)
- 一般社団法人 地域公益推進機構
- NPO法人市民協働ネットワーク長岡
- 特定非営利活動法人ターサ・エデュケーション(ノートムービーズ)
- 「withコロナ時代の図書館」リ・デザイン会議
- .style(ドットスタイル)※
- 特定非営利活動法人ACE(エース)
- 特定非営利活動法人クリエイティブライフデザイン※
終わりに
日本全国から各地で活動しているメンバーが集まってこのような規模のイベントを一緒に運営するのは初めてだったのですが、新しいアイディアが出たと思うともう実行に移していたり、必要な作業が見つかればどんどん進めていくといった場面が何度もあり、とても頼れるチームでした。運営チームの Slack でも、Do Action! という合言葉がいつの間にか広まり始め、このイベントを通して「行動すること」の大切さを改めて教えられた気がします。もちろん、参加者の皆さんの「仕事ぶり」を横で見ていても同様に感じました。
そして何より、対面しなくてもイベントを通して人のつながりを促進することはできると実感させてくれた do_action でした。閉会式でも言及しましたが、「周りの人たちと協力して世界を変えていけるという気持ち」が、今回関わってくださった方々の中で今後何らかの糧になれば何よりです。
運営チームの皆さん、ありがとうございました! @nukaga @gouten5010 @st810amaze @mekemoke @tomominn (ブログも早速書いてくださいました!) @shoheitanaka @ippei-sumida @ffukuda @yori3 @rocketmartue @masanaoishii @tsuyoring @mimitips @rtakao
最後に、5年前にこのイベントの骨子を作り、Japan 開催においてもメンターとして助けてくれた @hugh に感謝します。