イベント会計用の法人設立のご意見についてのフィードバック
「日本国内 WordPress イベント会計用の法人設立についての意見募集」へのコメントありがとうございました!
日本国内における WordPress イベント会計用の法人設立についての意見募集
いただいたご意見をもとに、説明が不足していると感じた部分もありましたので補足をしつつ、質問へ回答をいたします。
<補足情報>
1.現状の課題と背景
現在、国内WordCampの運営は任意団体名義(実質は個人口座)、または個人名義の銀行口座を借りて行われています。この形態が抱えている問題は以下のとおりです。
金融取引上の問題
- グローバルスポンサー費のような海外送金の受け取りが難しい、または不可能
- 会場やレンタル事業者によっては個人名義の口座との取引ができないことがある
- 事業者によっては WordCamp セントラルから直接クレジットカードや海外送金で費用を支払うことができない場合も多い
- 大きな金額が動くので、税務上の問題が発生しかねない(個人の収入とみなされるリスクが有る。税務負荷はなくとも、調査や会計情報提出などで時間的負担が個人にかかる可能性もある)
- スポンサー企業のコンプライアンス上、個人口座へのスポンサー費用送金が難しいことがある(この傾向は今後さらに高まることと思われる)
法的責任範囲の問題
- 会場契約などの際に法人でなければ契約できないというルールがある場合もあり、運営者ではない法人のご厚意で代理契約をしていただくことがある
- イベント保険の名義人が運営者個人名になり、万が一の事が起こった場合の責任範囲が大きい
権限集中の問題
- 利用口座が個人1名に属しているため、不慮の事故などが起きた場合や意図的に利用をブロックするなど、口座が完全に使えなくなるリスクが存在する
- ウェブサービスなどのアカウントの共有範囲が曖昧になり、各年それぞれ違う運営チームにアクセスがうまくバトンタッチされないことがある。法人設立自体で直接解決できることとはいえないが、毎年のスムーズな運営を補助する体制は作りやすくなる
2. 具体例
具体的な例として、法人化によって解決される(負担が軽減される)と考えている問題は以下となります。
- 会場・業者との契約
- イベント保険の取扱い
- スポンサー企業からの入金処理
- 口座の名義人変更
- 有形・無形資産の保管
- イベントでの使用する什器
- サブスクリプションアカウントの管理
- レンタルサーバーの契約
<質問回答>
コミュニティで有料のサービスを一括で利用したいみたいな場合にもお金が出せるようにはしておいたほうがいいかなとは思います。
@mebius0
上記の「権限集中の問題」でも触れましたが、今までサービスの継続利用などが難しかったのですが、そういった面でもサポートが可能になると思っています。実際にどこまでのサポートを行うか現時点で決定はしていませんが、コミュニティ全体の利益になるよう運営できればと思います。
「WordCampなど」と幅を持たせているのが気になったので、WordCamp(公式イベント)に限っても良いのかも?とは思いました。
@mekemoke
余剰金(ないことが望ましいけども)が出た場合やミートアップでも同じような事が起きることが「など」の理由かもと思いました。
@musus
ご指摘ありがとうございます。この法人が関与するイベントの定義を、「WordPress 公認イベント(※)」の範囲にしたいと思います。
※ WordPress 公認イベントとは、WordCamp・WordPress Meetup・do_action・Next Gen Events・Translation Day・Accessibility Day・Contributor Dayなど、https://events.wordpress.org/ に掲載されるすべてのイベントを指します。
「定期的に人員の入れ替え」をしていくというところです。結果的に同じ人に負担がかかった状態で理事や主要なメンバーは変わらないんじゃないかという気もしています。
変わるのがむずかしい場合は基本的には変わらないことを明記するか、任期や専任方法をもう少しだけ明確化(どんな人が対象で、メンバーの投票で決めるとか)できるとよいかと思いました。維持が難しくなったら解散という記載もあるので、その時はその時という感じでもいいですけどね。
@musus
任期や入れ替えのプロセスの詳細はこれから詰めていく必要がありますが、明確化することは必須だというご意見に同意します。
@bsanevans「今感じている面倒が、法人設立でなくなる」という考えではなく、「今感じている面倒が、法人設立で別な面倒に置き換わる」といった考えの方がリアルかと思います。その上で、法人設立すべきかぜひ検討するといいと思います。
> 一般社団法人の場合、社員の中から理事や監事の選任が必要になり、これらの役員は登記されます。この役員に関しては、変わるたびに登記変更が必要になります。また銀行口座には代表理事の名前も併記されるので、代表理事が変わるたびに口座名義の変更も必要になります。更に、e-tax で確定申告を行おうとすると、代表理事の電子署名をつけて送信することになります(たしか)。こういったことを踏まえると、役員の頻繁な変更は望ましくないと思います。
手続きにかかる時間や手間を踏まえ、数年ごとの変更を考えています。頻繁ではなく、かといって同じ人に負担がかかり続けることのない(同じ人が専有し続けることのない)変更をできたらと考えています。
非営利型一般社団法人も、法人税はかからないにしても、住民税が毎年かかります。また、登記内容を変更するたびには登録免許税もかかります。設立にも10万近くかかるのではないでしょうか。WordCamp から法人にお金を払う過程で、こういった経費を賄うだけの追加資金も徴収することになると思います。
@bsanevans
設立費用については、現時点で WordCamp Tokyo の口座にある余剰金を使えるかどうか WordCamp Central に確認予定です。住民税の予算については、年間を通してのイベントの予算に組み込むなど、検討していければと思っています。
法人を設立し「正しく」運営しようとすると、定期的な理事会の開催、議事録への役員全員による署名、議決事項の主たる事務所への公告、などが発生します。どれも難しくないですが、リモート活動中心の WordPress コミュニティーにとっては、ちょっと面倒なことも出てくるかもしれません。
@bsanevans
また今回の法人の活動内容が本当に収益事業に該当しないかどうかは専門家の意見ももらって慎重に考える必要があると思います。例えば WordCamp からお金をもらい、代わりに会計処理業務や会場確保の事務処理業務を請け負ったと税務署に見られれば、請負業として法人税がかかります。そういった場合、あえて営利型一般社団法人として登記し、会計の赤字を翌年に持ち込みやすくする体制にした方がメリットがあるかもしれません。
@bsanevans
専門家(税理士・司法書士)や非営利団体運営経験のある方々の意見をいただきながら、法人形態や運営方法を慎重に選定していければと思っています。
基本的に法人設立について、皆さま賛成してくださっていると受け止めております。
頂いたご意見や懸念点を踏まえて、法人設立への作業を前に進めながら、決定事項や進捗を定期的に共有させていただければと考えております。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。