イベント支援法人設立の意見募集の結果 (2024年4月での状況)

これまでに、イベント支援法人設立の意見募集に関して3件投稿を行いました。

その中でいろいろなご意見がありました。ご意見の中には設立の前に解決すべき問題も提示されているものもあり、現在の必要性や緊急度を検討した結果、今はそのタイミングではないのではないか、と発起人4名で合意するに至りました。

これをふまえ、現時点での日本国内でのイベント支援法人設立の提案は見送ることとし、引き続きコミュニティでのニーズやフィードバックの共有を続けていければと思います。

今後、WordCamp など WordPress 公認イベント開催において銀行口座を用いた予算運用が必要となる場合、以下のような方法を取ることができます。

  • イベント運営メンバー個人口座の利用
  • 任意団体口座(実質個人口座)の新規作成
  • 会計を支援してくれる企業や団体の銀行口座の利用
  • すべての支払いを WordCamp Central (WPCS) に行ってもらう会計体制
    • 会場費の支払いなども含め、すべて海外からの送金受け入れが可能な場合に限ります
  • すべての支払いを立て替え払いにする会計体制

会場の契約の際に法人格が必要となる場面も今後あるかとは思いますが、そういった側面でのイベントへのご支援を考えていただける企業や団体の方がいらっしゃるようでしたら、ぜひお声がけをお願いいたします。

参考資料: 任意団体銀行口座作成方法

これらはあくまでも参考資料となります。イベント開催希望の地域における地銀や信用金庫などについては各自検索してみてください。

#accounting-entity

イベント支援法人設立に対するフィードバックへのコメント

昨年11月と12月公開した投稿に対するコメントありがとうございます。

いただいたコメントを拝見すると「混乱」が生じている可能性があると感じさらなる補足情報をこちらでご紹介させていただきます。

本記事では主に以下の点に絞って補足させていただきます。

  1. 法人格の基本的な機能について
  2. 法人設立案が出てくるまでの実情
  3. 法人設立における責任の所在

法人格の基本的な機能について

団体自体の目的はイベントにおける会計サポートであり、それ以上の特別な決定権や実行力を持たせることは考えていません。

  • 法人としての銀行口座
  • カンファレンス開催における会場契約や保険の契約

法人設立案が出てくるまでの実情

実際にどのような苦悩・問題があったのか

  • 個人の銀行口座が必要になる
    • 任意団体の口座は実際には個人名義
    • マネーロンダリングの懸念などから、国外から個人口座で送金を受け取るのがますます煩わしくなってきている
    • 動く金額が大きい場合、個人への税務的負担が増える可能性がある(例えば税務調査、追徴課税)
    • 企業が任意団体に対してスポンサードしづらい/できないという話がある
    • 今まで使ってきた任意団体のゆうちょ口座(高野名義)は今年 WordCamp Kansai が終わったら閉じる予定
  • 会場契約の難しさ
    • 過去に、法人契約しかできない会場で名前を貸してくださった会社が WordCamp のレギュレーションでスポンサーできなくなったことがあった
    • 名義を変えようとしたらキャンセルが必要となりキャンセル料が発生する状況でそのまま名前だけお借りした

誰に相談しているのか

  • WordCamp Central や WordPress Foundation(米国の非営利法人) へ相談している
  • WordCamp Japanでお世話になった税理士へも相談し、税制の懸念点も明確にしている

他の国のローカルコミュニティはどうしているのか

  • イベントの会計を受け持つ米国法人である WordPress Community Support, PBC. (WPCS) から直接銀行送金できる場合、国内の口座に高額を送金する必要がない
  • 海外 WPCS が会場を借りる団体として署名することができる場合もよくあるが、国内ではほとんどそういうケースはない
    • 契約法人名と支払口座の名称が一致していないと断られることもある
  • 保険の契約もWPCSが会場を借りる団体として契約できる場合WPCSの保険がカバーすることになるが、日本では契約できたことがないので別で個人が保険を契約している
  • WordPress のイベントなどのコミュニティ活動を支援する目的として設立された非公認団体には以下のようなものがある。
    • スペインの ADEWEB
    • ネパールの WPNepal
    • フランスの L’association
    • ポーランドの Fundacja
    • チェコにも存在する
    • オープンソース関連団体に会計などの面で WordPress イベント支援を依頼している国もある。
  • 日本でも、Linux Foundation Japan にオーストラリアの Linux 組織のような会計サポートが可能か相談したことはあるが、別団体であり国内の事情により実現はしなかった
  • 他のオープンソースコミュニティでも、イベント運営のために日本で法人を持っているところがある

なぜ法人を設立するのか

  • 金融取引の明瞭化、個人負担の軽減
    • 上記参照
  • 法的責任のリスクヘッジ
    • 事故、事件、訴訟が起きた場合の責任が個人負担にならないようにする
    • 企業に責任を肩代わりしてもらっても、その企業が最後まで責任を持てるとは限らない

法人設立における責任の所在

誰が発起人なのか

  • 高野/額賀/Gouten/Shuseiが現在話を進めているが、誰が役員になるのかなどについては「決定」していない

どうやって「代替わり」をするのか(案)

  • 理事の任期を決める(2〜3年、事情によっては途中で降りることも可能)
  • 理事の再任についてもルールを決める
  • コミュニティイベントへの貢献経験者・継続的に貢献している方。例えばですが、
    • WordCamp 委員長を務めた人
    • Community Team で役割を持っている人
    • Meetup オーガナイザーを1年以上継続している人

代わりが見つからなかった時はどうするのか

  • 清算・解散

上記が現段階で話し合いが行われている内容となります。

現段階ではまだ何も「決定」はしていません。法人設立に関しても形態や運用についても議論を重ねている段階です。もしこの法人設立に関してフィードバックがある場合は、こちらの投稿へのコメントまたはこちらのフォームよりお問い合わせください。

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イベント会計用の法人設立のご意見についてのフィードバック

「日本国内 WordPress イベント会計用の法人設立についての意見募集」へのコメントありがとうございました!

日本国内における WordPress イベント会計用の法人設立についての意見募集

いただいたご意見をもとに、説明が不足していると感じた部分もありましたので補足をしつつ、質問へ回答をいたします。

<補足情報>

1.現状の課題と背景

現在、国内WordCampの運営は任意団体名義(実質は個人口座)、または個人名義の銀行口座を借りて行われています。この形態が抱えている問題は以下のとおりです。

金融取引上の問題

  • グローバルスポンサー費のような海外送金の受け取りが難しい、または不可能
  • 会場やレンタル事業者によっては個人名義の口座との取引ができないことがある
  • 事業者によっては WordCamp セントラルから直接クレジットカードや海外送金で費用を支払うことができない場合も多い
  • 大きな金額が動くので、税務上の問題が発生しかねない(個人の収入とみなされるリスクが有る。税務負荷はなくとも、調査や会計情報提出などで時間的負担が個人にかかる可能性もある)
  • スポンサー企業のコンプライアンス上、個人口座へのスポンサー費用送金が難しいことがある(この傾向は今後さらに高まることと思われる)

法的責任範囲の問題

  • 会場契約などの際に法人でなければ契約できないというルールがある場合もあり、運営者ではない法人のご厚意で代理契約をしていただくことがある
  • イベント保険の名義人が運営者個人名になり、万が一の事が起こった場合の責任範囲が大きい

権限集中の問題

  • 利用口座が個人1名に属しているため、不慮の事故などが起きた場合や意図的に利用をブロックするなど、口座が完全に使えなくなるリスクが存在する
  • ウェブサービスなどのアカウントの共有範囲が曖昧になり、各年それぞれ違う運営チームにアクセスがうまくバトンタッチされないことがある。法人設立自体で直接解決できることとはいえないが、毎年のスムーズな運営を補助する体制は作りやすくなる

2. 具体例

具体的な例として、法人化によって解決される(負担が軽減される)と考えている問題は以下となります。

  • 会場・業者との契約
  • イベント保険の取扱い
  • スポンサー企業からの入金処理
  • 口座の名義人変更
  • 有形・無形資産の保管
    • イベントでの使用する什器
    • サブスクリプションアカウントの管理
    • レンタルサーバーの契約

<質問回答>

コミュニティで有料のサービスを一括で利用したいみたいな場合にもお金が出せるようにはしておいたほうがいいかなとは思います。

@mebius0

上記の「権限集中の問題」でも触れましたが、今までサービスの継続利用などが難しかったのですが、そういった面でもサポートが可能になると思っています。実際にどこまでのサポートを行うか現時点で決定はしていませんが、コミュニティ全体の利益になるよう運営できればと思います。

「WordCampなど」と幅を持たせているのが気になったので、WordCamp(公式イベント)に限っても良いのかも?とは思いました。

@mekemoke

余剰金(ないことが望ましいけども)が出た場合やミートアップでも同じような事が起きることが「など」の理由かもと思いました。

@musus

ご指摘ありがとうございます。この法人が関与するイベントの定義を、「WordPress 公認イベント(※)」の範囲にしたいと思います。
※ WordPress 公認イベントとは、WordCamp・WordPress Meetup・do_action・Next Gen Events・Translation Day・Accessibility Day・Contributor Dayなど、https://events.wordpress.org/ に掲載されるすべてのイベントを指します。

「定期的に人員の入れ替え」をしていくというところです。結果的に同じ人に負担がかかった状態で理事や主要なメンバーは変わらないんじゃないかという気もしています。

変わるのがむずかしい場合は基本的には変わらないことを明記するか、任期や専任方法をもう少しだけ明確化(どんな人が対象で、メンバーの投票で決めるとか)できるとよいかと思いました。維持が難しくなったら解散という記載もあるので、その時はその時という感じでもいいですけどね。

@musus

任期や入れ替えのプロセスの詳細はこれから詰めていく必要がありますが、明確化することは必須だというご意見に同意します。

「今感じている面倒が、法人設立でなくなる」という考えではなく、「今感じている面倒が、法人設立で別な面倒に置き換わる」といった考えの方がリアルかと思います。その上で、法人設立すべきかぜひ検討するといいと思います。
> 一般社団法人の場合、社員の中から理事や監事の選任が必要になり、これらの役員は登記されます。この役員に関しては、変わるたびに登記変更が必要になります。また銀行口座には代表理事の名前も併記されるので、代表理事が変わるたびに口座名義の変更も必要になります。更に、e-tax で確定申告を行おうとすると、代表理事の電子署名をつけて送信することになります(たしか)。こういったことを踏まえると、役員の頻繁な変更は望ましくないと思います。

@bsanevans

手続きにかかる時間や手間を踏まえ、数年ごとの変更を考えています。頻繁ではなく、かといって同じ人に負担がかかり続けることのない(同じ人が専有し続けることのない)変更をできたらと考えています。

非営利型一般社団法人も、法人税はかからないにしても、住民税が毎年かかります。また、登記内容を変更するたびには登録免許税もかかります。設立にも10万近くかかるのではないでしょうか。WordCamp から法人にお金を払う過程で、こういった経費を賄うだけの追加資金も徴収することになると思います。

@bsanevans

設立費用については、現時点で WordCamp Tokyo の口座にある余剰金を使えるかどうか WordCamp Central に確認予定です。住民税の予算については、年間を通してのイベントの予算に組み込むなど、検討していければと思っています。

法人を設立し「正しく」運営しようとすると、定期的な理事会の開催、議事録への役員全員による署名、議決事項の主たる事務所への公告、などが発生します。どれも難しくないですが、リモート活動中心の WordPress コミュニティーにとっては、ちょっと面倒なことも出てくるかもしれません。

@bsanevans

また今回の法人の活動内容が本当に収益事業に該当しないかどうかは専門家の意見ももらって慎重に考える必要があると思います。例えば WordCamp からお金をもらい、代わりに会計処理業務や会場確保の事務処理業務を請け負ったと税務署に見られれば、請負業として法人税がかかります。そういった場合、あえて営利型一般社団法人として登記し、会計の赤字を翌年に持ち込みやすくする体制にした方がメリットがあるかもしれません。

@bsanevans

専門家(税理士・司法書士)や非営利団体運営経験のある方々の意見をいただきながら、法人形態や運営方法を慎重に選定していければと思っています。


基本的に法人設立について、皆さま賛成してくださっていると受け止めております。

頂いたご意見や懸念点を踏まえて、法人設立への作業を前に進めながら、決定事項や進捗を定期的に共有させていただければと考えております。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

#accounting-entity

日本国内における WordPress イベント会計用の法人設立についての意見募集

こんにちは!日本にいる WordPress コミュニティのメンバー( @nukaga @nao @st810amaze @gouten5010 )で、 WordPressコミュニティ向けの法人設立を検討する話が出ています。

背景

もともとはWordCampなど大きなイベントをする際に、会場を借りる時などに日本での法人格が必要となることが多く、今まではWordCampに関わる法人の方から名前をお借りしていたりしました。

しかし、それは実情とあっていなく、またWordPressイベントでの会場費が高額な場合、その法人にかかる責任や負担が大きすぎるという認識です。

また、WordCampでかかる費用の入出金でも法人格が必要となる場があり、会計処理をこのまま各WordCampの「実行委員会」という任意団体が他の任意の法人名や個人名を借りつつ行うことは、健全ではないのではないかという議論からの法人設立の検討となっています。

日本でWordCampが初開催された2008年から15年が経ち、当時とは開催規模も変わってきました。その間に日本の税制度にも多くの変更があり、より適切な対応を求められるようになってきています。

この団体の主たる目的はイベントにおける会計サポートであり、それ以上の特別な決定権や実行力を持たせる予定や必要はありません。

目的

  • 会計用口座の維持管理
  • イベント会場等、法人格が必要となる契約
  • 日本の税務制度への適切な対応
  • 長期的なイベント運営の継続を可能にするための手続きの透明化

手段

  1. 中核となる法人を日本国内で設立し、イベント(主に WordCamp 等)開催時の主たる契約者となり、国内コミュニティの発展に繋げる。
  2. 設立時のメンバーのみで法人の運営を続けるのではなく、設立時に設定した任期に従って定期的に人員の入れ替えをしていく仕組みにする。
  3. 継続の必要性がなくなったり、維持が難しくなった場合は解散する。

現在法人設立について話し合っている段階であり、何も最終的な決定はしていません。法人形式は、非営利型一般社団法人を検討しております(非営利型一般社団法人とは)。

賛成、反対、疑問点などあれば本記事コメント欄にぜひご記入ください。3週間後までご意見を募集し、その後、頂いたコメントを反映して次のステップを考えていきたいと思います。

#accounting-entity